満福農園とは

自動車学校が農業!?

2006年、岩手県のとある自動車学校に「農業部門」が設立された。

日本人はもともと農耕民族だったじゃないか!?その農業が衰退しつつある。外国の食物が飽和している中、我が国の食料自給率は下がる一方。この先、どんな状況になってもいいように、自給自足できる体制を作らなきゃならん!

陸前高田、遠野、平泉の各自動車学校は、教習指導員との二足のわらじを履いて、農業に取り組むこととなった。

ただ農業については、「素人」か「家の畑で野菜作ったことある」程度の集団…失敗の連続、野菜ができても売り先がない、加工品って何の免許が必要なの?そんな感じ。

まずは岩手県遠野市で、馬の堆肥を使用した「馬米(うまい)」、トマト栽培からジュース加工に着手。遠野産のトマトを使用したそのジュースは「遠野レッド」として販売を開始。それから数年後、岩手県陸前高田市では、幻のきゅうりと称される「自根(じこん)きゅうり」の栽培が始まる。きゅうりは市内の醤油・味噌を扱う地元の老舗が全て引き取り、漬物として販路を拡大させていた。古くから陸前高田市は、自根きゅうりの里だったという。その希少価値がメディアに取り上げられ、注目を浴びることも。もっと自根きゅうりの素晴らしさを、農業の大切さを広めていきたい…東北の農業は、大きな希望に満ち溢れていた。しかし…

2011.3/11(金) 14:46  東日本大震災が発生。

希望に満ち溢れた街が、想像を絶する災害に見舞われた。

景色が、記憶が、生業が、そして大好きな笑顔が、一瞬にして海の向こうに消えていった。

自動車学校の農地は奇跡的に無事だったが、野菜を納めていた企業はすべて壊滅。市内の多くの農地が浸水し、声にならない悲鳴があちこちで響き渡るようになった。被災を免れた高田自動車学校は、陸前高田市、気仙地区における情報発信の拠点となり、ライフラインの復旧やボランティアの受け入れ、支援物資の輸送、市日の再開など多くの役割をこなしていく。自分たちの畑だけを耕している場合じゃない、誇りある「自動車学校の農業部門」は、解散の方向に傾きかける。

しかし、2012年3月7日。

こんなになってしまったからこそ「日本古来の伝統でもある、農業という文化を守り、後世に継承していく」ことをコンセプトに、採算は度外視し、農業部門の再建を決意。翌年には「有限会社 満福農園」として独立。初のイチゴ栽培を皮切りに、陸前高田では自根きゅうりの栽培を、遠野ではトマトの栽培が再開される。一種類だったトマトジュースは「アイコ」「イエローアイコ」の二種類となり、更なる新商品の提案、地域雇用の創出、企業の枠を超えたコラボレーション、浸水農地の活用、そして多様な野菜の栽培など、様々な活動を行いながら進撃中!自動車の運転同様「安全」をキーワードに、農薬や添加物をできるだけ使用しない。もちろん失敗だらけ、途方もない道のりに立ち止りそうになる。でも、前を向くしかない。日本の農業を守るために、そして未来に繋げていくために。小さくても確かな、希望の光はある。

「満福農園の野菜って…ジュースっておいしいね」って言ってくれるお客様が、確かにいるんです。

「食卓の笑顔、家族の福を満たす農園でありたい」

多くの出会い、巡り合いを大切に、皆様へ「食の安全」をお届けしたいと思っています。